昨年に続き、今年も5月15日から17日の3日間、G4Dオープンが名門ウォバーン・ゴルフ・クラブのダッチェス・コースで開催されました。G4Dオープンとは、R&Aと欧州男子ツアー(DPワールドツアー)のパートナーシップにより開催される、最も大きな障がい者ゴルフの大会です。欧州障害者ゴルフ協会 (EDGA)がサポートをしています。
今年は昨年より2カ国増えた19カ国から、15歳から68歳までの男女80名(アマチュアおよびプロ)の一流障がい者ゴルファーが出場しました。
R&AとUSGA(全米ゴルフ協会)は、WR4GDランキング(世界障害者ゴルフランキング)を運営していますが、そのトップ20中からは、トップ5の選手を含む12人の選手が出場していました。障がい者ゴルフの世界一を決める大会と言っても良いでしょうね。
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— The R&A (@RandA) May 13, 2024
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欧州男子ツアー(DPワールドツアー)が、障がい者ゴルファーのツアーであるG4Dツアーを始めたのが2022年からでした。昨年までは、WR4GDランキングのグロス部門(ハンディを考慮しない)上位者10数名が選出されるエリートクラスのツアーでしたけど、今年からはWR4GDネットランキング(ハンディを考慮)から選出された選手の競技も行われるようになりました。
G4Dツアーは、欧州男子ツアーのトーナメントと同じ週に、同じコースで行われます。障がい者ゴルフの認知度を高めてきたと同時に、障がい者ゴルファーのモチベーションにも大きな影響を与えてきました。ハンディキャップを含む競技が新たに開催されることで、今後ますます発展するのではないかと思います。
欧州男子ツアーの障がい者ゴルフへの取り組みは、時代の要請もあると思いますけど、今年CEOを退いたキース・ペリー氏の時代に一気に進展しました。そのキース・ペリーの友人であり、影響を与えたのが深見東州さんの取り組みだと思います。
キース・ペリー氏は、深見東州さんのことを「障がい者ゴルフの父」と語っていましたからね。深見東州さんも最初から障がい者ゴルフ全体を支援していたのではなく、当初は36年前、ブラインドゴルフを日本に導入し広めたことから始まります。そして10年後には、バラバラに活動していた各国の協会を総括する、世界ブラインドゴルフ協会の必要性を提案し創設につなげます。今でも総裁として、世界選手権や世界中のブラインドゴルフの大会を支援しています。
その後深見東州さんは、選手たちの念願でもあるパラリンピック正式種目採用を目指して、障がい者ゴルフ全体を支援するようになります。日本では、日本プロゴルフ協会(PGA)主催の、「フィランスロピー障がい者ゴルフ大会」を2009年に初めて支援し、2013年からはPGAとISPS HANDAの共催になり、今日まで継続してサポートしてきました。
また、日本では知られてないと思いますが、英国PGA(イギリスとアイルランドのティーチング・ゴルフ・プロとクラブ・ゴルフ・プロの利益を代表するプロ団体。世界で最初に設立されたプロゴルフ協会)は、2012年から深見東州さんが取り組む障害者ゴルフに関して、新たな取り組みとして「ISPS HANDA PGAアカデミー・プログラム」を開始しました。
これは英国PGAの選手に、障がい者ゴルファーをコーチするためのトレーニングを行い、コーチとしての資格を与えるものです。そして、より多くの障がい者ゴルファーが専門的なコーチングを受けれるようになり、スキルアップできるようになりました。
さらに深見東州さんは、報道されたものだけでも2018年ごろから、W杯ゴルフ、プレジデントカップ、オーストラリアのナショナルフラッグのトーナメント、米国PGAツアーにおいて障がい者ゴルファーの国際大会を開催し、サポートを行なってきました。
各国で開催される大会まで含めると、年間に10試合くらい、障がい者ゴルファーの大会をスポンサードしていると、当時、欧州男子ツアーCEOのキース・ペリー氏は語っていました。
欧州男子ツアーは2019年に、そのような障がい者ゴルフへの貢献に対し、深見東州さんをヨーロピアンツアー障害者ゴルフ・プログラム名誉アンバサダー(Honorary Ambassador to the European Tour’s Golfers With Disability Programme)に任命しました。
そして、2019年から欧州男子ツアーは、欧州障害者ゴルフ協会 (EDGA)と協力して、障がい者ゴルフの大会を積極的に開催し始めます。その後コロナの時期を挟んで、内容も変遷しながら、2022年2月からは現在のようなG4D (Golf for the Disabled) ツアーという形になりました。
今回開催されたG4Dオープンも、G4Dツアーのひとつになりますけど、なんと言っても障害のカテゴリーや度合いにより9つのクラスに分かれ、男女のチャンピオンと、それぞれのクラスでグロス賞が表彰されるのは、G4Dツアーではこの大会だけです。
したがって通常のG4Dツアーはエリートクラスの選手10人程度が出場できますけど、この大会はさまざまな障害を持つたくさんの選手が出場する最もインクルーシブなイベントになります。今回、日本選手も4人出場しました。将来、パラリンピックの種目に採用された場合は、このようなスタイルになるのかもしれません。
そのような権威ある大会ですので、各カテゴリー別の勝者もですけど、全選手を含めた総合で優勝するのは、とても名誉なことだと言えます。今回は英国のキップ・ポパート選手が総合優勝を飾りました。彼はWR4GDランキング(世界障害者ゴルフランキング)において、ずっと1位の選手なので、実力通りの結果とも言えます。
昨年の第1回大会では、WR4GDランキング2位で、ISPS HANDAアンバサダーのブレンダン・ロウラー選手が、キップ・ポパート選手との接戦を制し優勝しました。今年も昨年同様、最後は2人による争いとなり、最後までもつれた末に1打差でキップ・ポパート選手が雪辱を果たしました。
Amazing event @RandA ! Wishing @BrendanLawlor97 and everyone the best for the final round today https://t.co/HpGZuUrDqc
— Niall Horan (@NiallOfficial) May 17, 2024
それからこの大会は、単に競技を行うだけではありません。ゴルフの健康と社会的利益を享受できるよう、障害を持つ人々に対する競技の提供を、根本的に強化するための活動や議論が、この1週間で活発に行われました。
まず、世界初の画期的な義手が開発され、G4Dオープンの期間中、特別コーチング・セッションで、小学生の子どもたちに試用されました。この義肢装具を使用する子供たちは、先天性肘下肢欠損症で、生まれたときに腕が完全に発達していないそうです。欧州障害者ゴルフ協会 (EDGA)の指導・教育責任者による専門的な指導により、子どもたちは初めて義足を使って、特別に作られたショートコースを3ホールプレーしたそうです。
また、ゴルフの各国連盟の代表者が集まり、会場、コミュニケーション、競技、コーチング、労働力の改善などをテーマに、G4Dの能力を高め、未来を切り開くよう、ワークショップで専門知識を披露しました。
また、大会は観客の入場と駐車場が無料で、多くのギャラリーが来場し、盲目のゴルファー、片腕で打つゴルファー、膝上切断でスイングするゴルファー、電動椅子からプレーするゴルファーたちが、どのようにプレーするのかを見て学ぶことができました。また、ロープ外では、あらゆる年齢層の参加者たちが、その場でゴルフを体験し、楽しむことができるエリアも用意されていたそうです。
最後に試合結果をまとめておきます。
男子優勝者
キップ・ポパート(イングランド)
女子優勝者
ダフネ・ヴァン・ホーテン(オランダ)
男子グロス賞受賞者
- インテレクチュアル1:キャメロン・ポラード(オーストラリア)
- インテレクチュアル2:トーマス・ブリザード(イングランド)
- スタンディング1:フアン・ポスティーゴ・アルセ(スペイン)
- スタンディング2:キップ・ポパート(イングランド)
- スタンディング3:ブレンダン・ロラー(アイルランド)
- シッティング1:テリー・カービー(イングランド)
- シッティング2:リチャード・クルーウェン(オランダ)
- ビジュアル1:ポール・オライリー(アイルランド)
- ビジュアル2:ジョン・イーキン(イングランド)
女子グロス賞受賞者
- インテレクチュアル2:エリカ・マルムバーグ(スウェーデン)
- スタンディング1:アレッサンドラ・ドナーティ(イタリア)
- スタンディング2:アイミ・ブロック(イングランド)
- スタンディング3:ダフネ・ヴァン・ホーテン(オランダ)
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