第一幕 第一場
ファルスタッフが常宿にしている 旅籠屋ガーター亭。
左からファルスタッフ(深見東州さん)、バルドルフォ、ピストラが、2通の手紙を書き終えて、酒を飲んでいる。
そこへ、日ごろからファルスタッフをよく思っていない医師カイウス登場します。ファルスタッフの従者、バルドルフォとピストラに酒を飲まされ、あり金を巻き上げられたと訴えるものの追い返されてしまいます。
ファルスタッフは、従者、ピストラとバルドルフォに2通の恋文を渡し、豪商の人妻アリーチェと、その友人で裕福な人妻メグに届けるように命しましたが、2人は「名誉がすたれる」と断ります。
ファルスタッフは「何が名誉だ」と怒り、2人を追い出しました。
第一幕 第二場
梅見の宴が張られている フォード家の中庭。
左からクイックリー夫人、メグ、アリーチェ(大貫裕子さん)、ナンネッタ。
アリーチェとメグが、ファルスタッフから来た恋文を読み合い、そこに娘のナンネッタとクイックリー夫人も加わり、同じ文面に大笑いします。女性たちは力を合わせて、ファルスタッフへの復讐計画の相談を始めます。
左から医師カイウス、バルドルフォ、フォード、ピストラ、フェントン。
入れ替わって男たちの登場で、医師のカイウスは、ファルスタッフを傍若無人と罵り、ピストラとバルドルフォは、ファルスタッフに追い出された腹いせに、フォードに恋文の件を言い付けます。フェントンも、ファルスタッフは要注意人物だとフォードに促します。
そこへ、女性たちが戻り、9人の会話となります。フォードは変装してファルスタッフに近づき、恋文の真相を探りだそうと計画し、一方、女性たちもクイックリー夫人をファルスタッフのもとに送り込み、復讐計画を実行しようとします。
そんな中でも、恋仲のフェントンとナンネッタは、愛を確かめあいます。
第二幕 第一場
旅籠屋ガーター亭
ピストラとバルドルフォは悔い改めた振りをし、ファルスタッフの元へ戻ってきます。
そこへクイックリー夫人が現れ、恋文に感動したアリーチェとメグが、各々会いたがっているとうそぶくと、ファルスタッフは、有頂天になります。
フォードは偽名フォンターナと名乗り、大金と銘酒を持って現れ、ファルスタッフに、自分に代わって妻アリーチェを口説いて欲しいと申し出ます。
あの奥方は、ご主人を裏切ったことはなく、何とも厄介な美徳があるとファルスタッフに伝え、「私に触るとやけどするわよ」と、フォードはファルセットで歌い、アリーチェのまねをします。
フォンターナがフォードだと知らずに、ファルスタッフは「女房を寝とってやるからな」と歌い、「奴は去勢されたブタだ」とフォードのことを罵り、去勢を意識するしぐさをします。
逢い引き現場の取り押さえ計画があるとも知らず、ファルスタッフは、意気揚々とフォンターナと肩を並べ出かけて行きました。
第二幕 第二場
川辺りにお座敷を設けた フォード家の屋敷
アリーチェとメグのもとへ、ファルスタッフをうまく誘い出したと、クイックリー夫人が満面の笑みで戻ってきました。
いよいよご満悦な表情のファルスタッフが登場し、アリーチェを口説こうとしたところへメグが来ると、クイックリー夫人が慌ただしく現れ、ファルスタッフはついたての後ろに隠れることを余儀なくされます。
すると今度はフォードが、岡っ引きや町火消らを引き連れ、ファルスタッフを捕まえようと乗り込んできます。今度はパンダ顔のタヌキの置物風洗濯籠に隠れることを余儀なくされ、女性たちも予定外の出来事に青くなります。
一方、フェントンとナンネッタは、大人たちが繰り広げる騒動を尻目に、寸暇を惜しんで愛を囁きあっています。
フォードとアリーチェたちが企てた、別々の計画が入り乱れる中、かくまわれたはずのファルスタッフは、女性たちの計画通り、川へと運ばれてしまいます。
哀れにも川へ投げ込まれてしまったファルスタッフは、人々に嘲られてしまいます。
第三幕 第一場
表道りに面した 旅籠屋ガーター亭の前
川へ投げ込まれたファルスタッフがずぶ濡れになって戻ってきます。
熱燗片手に「この世は酷すぎる!」と愚痴っているところへ、アリーチェからのわび状を携えたクイックリー夫人が、再びやってきます。その文に綴られていたのは、「騒動のお詫びに、鎮守の杜で密かにお会いしたい」というもの。もちろん、これもファルスタッフ懲らしめ計画の一環ですが、ファルスタッフの鼻の下が再び長くなります。
第三幕 第二場
あまたの魂が集うと信じられている闇夜の鎮守の杜
お社のご神体の下で、ナンネッタを愛するフェントンが恋心を歌います。そのフェントンは、僧侶に変装し、ファルスタッフ懲らしめ計画の準備が進められます。
そこへ、鹿の角をつけて仮装したファルスタッフが現れます。
ファルスタッフは、霊を目にしたものは命を取られるという、迷信を信じてるので怯えています。そんなファルスタッフを、扮装した皆がチクリ、チクリと攻め立てます。
一方フォードは、この騒ぎに乗じて、娘ナンネッタと医師カイウスの婚礼を取り行なおうとしますが、こちらもアリーチェの計画の下に失敗します。ナンネッタは晴れてフェントンと結ばれます。
ヴェルディが私たちに用意したプレゼント。「人生は喜劇、人間はみな道化!」と歌い、幕を閉じました。
深見東州さんのアイディアで作られた、ユーモアたっぷりの緞帳も、このオペラの見せ場の一つでした。ファルスタッフが川に投げ込まれ、流されているシーンをデザインしたものです。
幕の中は、春画をとりいれたデザインで、「大江戸版 好色男のファルスタッフ」にふさわしく、江戸時代に流行した性風俗を描いた浮世絵が装飾されているました。
オペラ「大江戸版 好色男のファルスタッフ」G・ヴェルディ作曲「ファルスタッフ」全三幕 イタリア語上演(字幕付き)
- 公演日
- 2008年9月19日
- 会 場
- 新宿文化センター 大ホール
- 協 力
- (財)東京二期会/(財)日本オペラ振興会
- 海外協力団体
- オーストラリアン・オペラ・スタジオ/中国国立歌劇舞劇院
- 後 援
- 毎日新聞社/TOKYOMX/TOKYOFM
- 主催・製作
- NPO法人 世界芸術文化振興協会(IFAC)
スタッフ
- 指揮
- ドブス・フランクス
- 演出
- 大島 尚志
- 総合プロデューサー
- 深見 東州
- 音楽監督
- 栗林 義信
キャスト
- 深見東州(春舌夫:ファルスタッフ)
- ロバート・タッカー(放戸:フォード)
- 大貫裕子(フォード夫人 有智恵:アリーチェ)
- ミリアム・シャラッド(ページ夫人 目愚:メグ)
- 劉珊(食栗:クイックリー)
- 王燕(何年田:ナンネッタ)
- 大間知覚(変豚:フェントン)
- 田代誠(毒多回臼:医師カイウス)
- 彭康亮(筆虎:ピストラ)
- アンドリュー・グローバー(馬流道方:バルドルフォ)
- 管弦楽:東京国際ニューフィルハーモニー交響楽団
- 合唱:戸渡阿見合唱団