昨年、深見東州さんが会長を務める国際スポーツ振興協会(ISPSハンダ)と、英国のウィリアム王子がパトロンをしているタスク(Tusk)という、野生動物の保護のために行動している慈善団体が協力し、野生動物の違法取引根絶を世界に発信しました。
その直後、ヨハネスブルグでは第17回ワシントン条約(CITES)締約国会議が予定通り開催されていましたが、結果がどうなったのか気になったので調べてみました。
このワシントン条約での交渉は、各国の経済的な利益が絡み、毎回外交上の駆け引きが影響を及ぼし、複雑な会議になるそうです。それに持ってきて、現在は密漁の激化という大きな問題を抱えての会議でしたので、いよいよ複雑になるのではないかと思ってました。
いつくつかの成果があったようですが、密猟と違法取引をなくすための規制努力をしても、違法製品への需要を抑える努力をしなければ効果がないということで、各国の消費者の行動を変化させることを求める決議が合意されたそうです。
日本においての意識調査でも、一部の消費者の野生生物製品への認識が低いことや、違法性へ無関心であることが示されているそうです。私もこれまで、野生生物の保護に関して、ほとんど意識することがなかったので、密漁や違法取引の実態を認識することからしなければいけないと感じました。
ところでこの会議の後、世界最大の象牙市場である中国が、2017年末までに国内の象牙取引と加工を全面禁止にすると発表しました。これは大きなニュースとして、関係者に喜びの声を持って迎えられていました。
アメリカは昨年の6月に、ほぼ全面禁止に踏み切ることを発表していました。中国も国際的な批判の高まりに対応したのでしょう。数年前、ウィリアム王子が直接にオバマ大統領と習近平主席と会談し、国内取引の全面禁止の確約をとってましたが、それを中国はまだ実行に移すところまでいってませんでした。
これで、違法象牙製品の消費国1位、2位の国で取引禁止となりますので、アフリカゾウの密漁が減ると良いですね。
今回の会議では、アフリカゾウの取引を巡って意見が対立しました。密漁が急増している東アフリカの国々は、象牙を含むアフリカゾウの商業取引の全面禁止を求めました。一方で、密漁の犠牲が少なく個体数が安定している国では、象牙の輸出を再開したい考えで、規制緩和を求めました。結局平行線のまま、どちらの提案も却下されたそうです。
象牙の輸出を考える国では、その地域のコミュニティに経済的な利益を与えることで、保全につながると主張しました。しかし、規制強化を求める国は、武装した犯罪組織から野生動物を守るのに、戦争のようになっていて、保護をするレンジャー達までが犠牲になっているそうです。それを無くすには、国際取引の全面禁止が必要だと訴えました。
日本に住んでいると、なかなか理解しにくいところもありますね。それで、会議のものではありませんが、いくつかの動画を見てみると、そのような双方の主張の違いなどが多少理解できました。
野生動物の保護に関しては、知れば知るほどややこしいことがわかってきます。日本では、イルカの追い込み漁や捕鯨のことなどがニュースになりますよね。その国の伝統や食糧事情、経済事情など、様々なことが絡むだけにどう考えるのがベストなのかわからなくなることがあります。国際的な取り組みとして、話し合っていくしかないのでしょうけどね。
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