明るすぎる劇団・東州2016年定期公演が、5月14日、15日の2日間にわたり、新国立劇場にて開催されました。当日の様子がスポーツ新聞などに掲載されてますので、そちらも紹介しながら、少しリポートしようと思います。
今回は耳なし芳一やお釈迦様が登場する「残酷な天使のナットウキナーゼ」と、インド映画の要素をスパイスした「へそ」の2本立てでした。ストーリーがありがたのパターンにはまらない、予測不能の展開にハラハラさせられるという劇団東州の特徴は、今回も健在でしたね。エッ?という展開の連続を楽しませてもらいました。
深見東州さんは、絶対に先が読めない物語をいつも作られますね。それでいて何か一貫したメッセージもあり、終わってみると、なーんだそうだったのと妙に納得するしかないんですよね。今回のストーリーをどう説明すれば良いのかわかりませんが、深見東州さんの解説をところどころ思い出しながら書いてみることにします。
「残酷な天使のナットウキナーゼ」は、仏様が、お釈迦様から勧められてエンゼルになるシーンがあります。また、お釈迦様がとてもモダンなスタイルで登場します。これは、最近の宗教の実態を知ると、その意味が分かるそうです。
キリスト教にも仏教にもさほど知識のない私にとっては、あまり理解しづらい部分ですが、そういう昔からある宗教ではなくて、宗派にこだわらない流れの、ニューエイジという潮流が世界にはあるそうです。名前は聞いたことがありますが、内容に関しては初めて知りました。スピリチュアルで、宗教のようでもありますが宗派には拘泥してなく、自己啓発の要素なども盛り込んで発展してきたそうです。
そして、それとは別にいろいろな宗教が、相手との違いを尊重しながらも、そんなに変わらないし共通したところもたくさんあるからと、お互いに喧嘩せずに仲良く協力しようよという流れがあるそうです。専門用語では宗際化運動というそうですが、そういう方向に宗教は進んでいるようです。
そういうお話を聞くと、なるほどと思いましたね。そういう潮流が出てきたこともわかる気がします。いつまでも宗教間で争うなんて間違っていますよね。そう思っている人は、世の中に増えていると思います。そんな宗際化運動やニューエイジの潮流を、宗教の教養として知っている人は、今回の物語もすんなりと理解ができるそうです。
ちなみに深見東州さんは、その宗際化運動に昔から取り組んできたそうです。深見東州さんが教祖のワールドメイトも、宗派に関係なく、どの宗教も肯定されているようです。もちろん争うこともないそうです。それが本当ですよね。解説を聞いていても納得がいきました。
もう一つの「へそ」では、おへその物語がいつの間にか宇宙のカシオペアのお話にまでなっていきます。こちらも予想できない展開に、ひたすらおののくしかなかったのですが、最後は宇宙のへそが西荻窪だったというもの凄いオチに笑ってしまいました。
ストーリーはそんな感じで、途中で馬車に乗った通りすがりの小柄な男性が出てきて、いきなりダンスが始まったりするんですが、それがインドの映画の要素をふんだんに盛り込んだもので思わず笑ってしまいます。まったく意味なんてないような展開なんですが、ノリの良いインド風のダンスパフォーマンスがキレッキレで、結婚式もインド風の、なぜかカエルの神父さんが出てきたりと、よくわからないけども笑えます。ここは、戸渡阿見(深見東州)作品の演出の面白いところだと思います。
それから恒例となっている、深見東州さん自身による渾身のパントマイムが、今回も会場の笑いをたくさんとっていました。カニやエビの形態模写をここまで徹底してされると、克明にリポートするのも野暮になりそうなのでやめときますが、とにかく細かい芸でした。そして笑いを取ろうとか考えずに飄々とされるので、そこがなんとも可笑しいです。本当は周到に計算されたパフォーマンスなんでしょうけどね。
それでは、今回の公演に関する新聞記事を紹介します。
「第7回明るすぎる劇団・東州定期公演2016」/ デイリースポーツ
「慈悲と慈愛」あふれるメッセージ
耳なし芳一が観音にセリフの一つ一つに、演技の端々に戸渡阿見(ととあみ)のメッセージがほとばしっていた。両日とも1000人を超す大観衆は、ただ舞台を見上げるしかなかった。
2007年5月の旗揚げ以来、演劇界の話題をさらい、見る者を「戸渡阿見ワールド」に誘ってきたが今回は、抱腹絶倒の演目の中にも、強い強いメッセージが込められていた。
最初の演目は「残酷な天使のナットウキナーゼ」。エンディングで戸渡阿見や出演者が総出で「梨」を配り歩く際に歌い上げる「残酷な天使のナットウキナーゼ」は、日本を代表するアニメ「エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」のオマージュだが、劇の内容は濃密だった。
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