昨年のハンダ・オペラ・オン・シドニー・ハーバーは、アンドリュー・ロイド・ウェーバーの『オペラ座の怪人』が上演され、素晴らしい大成功を収めました。
オーストラリアのメディアの報道によると、2020年からはじまったCOVID-19のパンデミックの影響で、オーストラリア最大の芸術団体であるオペラ・オーストラリアも大打撃を被ったそうです。作品の大量キャンセルや、劇団員の4分の1が解雇されるなど、非常に厳しい状況に陥り、内部紛争が起きていたことも書かれていました。
幹部クラスや会長、CEOも変わったりと、とても大変な時期だったようですね。そんな中で2022年からは持ち直しはじめ、オペラ団の65年の歴史の中でも、最も成功した年になったようです。
3月から4月にかけ1ヶ月間開催された「ハンダ・オペラ・オン・シドニー・ハーバー」の『オペラ座の怪人』の大成功も、大きな要因だったのは間違いないと思います。『オペラ座の怪人』を著名な演出家やデザイナー、照明担当や振付師らとともに、引っ張ってくることに成功したオペラ・オーストラリアの芸術監督であるリンドン・テラシーニ氏の手腕がひかりました。
バリトン歌手のリンドン・テラシーニ氏は、深見東州さんとの親交が深く、IFACオーストラリアの代表者にも就任しています。2009年からは13年間にわたりオペラ・オーストラリアの芸術監督を務め、カンパニーの売上を2倍以上にしたそうです。
2012年に、深見東州さんが会長を務めるIFAC(世界芸術文化振興協会)からの支援を受けた「ハンダ・オペラ・オン・シドニー・ハーバー」という革新的なイベントを実現させ、今ではシドニーのこの時期に欠かせない一大イベントになるほどまでに大成功を収めています。
それ以外にもオペラを多くの観客に楽しんでもらえるように、幅広いレパートリーを持つようにしました。『エビータ』や『オペラ座の怪人』、『ウエストサイド物語』、『マイ・フェア・レディ』などの有名なミュージカルのオーストラリアでの上演を成功させます。
並行してテレビでのオペラ、LED スクリーンを備えたデジタル オペラなど、テクノロジーを駆使して近代化し、オペラを現代的に生まれ変わらせたと評価されています。2014年には「オペラ出演者、演出家、管理者としての舞台芸術への多大な貢献が評価され」オーストラリア勲章 (AM) を授与されています。
実は昨年の10月、そのリンドン・テラシーニ氏がオペラ・オーストラリアの芸術監督を退任することが、突然発表されました。本来は今年2023年まで契約があったそうです。かなり衝撃的なニュースだったようですが、「私はこの13年間、オペラ・オーストラリアで芸術監督を務めることをとても愛してきましたが、人生の次の段階に進み、新しい冒険をし、後任者の移行を可能にするために、このポジションから退くことにしました」と、本人が語っていました。
ちょうどこの年は、『オペラ座の怪人』の主役の一人との間で揉め事が起きたり、幹部の入れ替わりや、社内調査の流出で、いじめやハラスメントに関することが明るみに出たりするなど、会社のイメージが悪くなっていた時期でしたが、今回の退任とは関係ないそうです。
最も困難だった2021年に、新たにCEOに就任したフィオナ・アラン氏はテラシーニ氏に対して、65年の歴史の中で2番目に長く務めた芸術監督として、テラシーニの芸術的ビジョンと深い音楽知識に感謝していると述べています。また、CEOとしては最も困難な時期の着任でしたが、危機的な状況はどこにもなく、私が見えるのはチャンスだけですとコメントしました。
すでに2023年シーズンのラインアップは発表されていて、2023「ハンダ・オペラ・オン・シドニー・ハーバー」では、2014年以来2度目となる『マダム・バタフライ』の上演が決まり、準備に動き出していました。
テラシーニ氏は、2023年以降も名誉職として、特に「Handa Opera on Sydney Harbour(HOSH)」でオペラ・オーストラリアに携わることも発表されていました。そして無事に、今年の3月24日から4月23日まで、『マダム・バタフライ』がシドニーで上演され、今年もかなりの高評価を得ていました。
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