深見東州さんが会長を務める東京芸術財団主催によるオペラ「夕鶴」が、8月1日に新国立劇場(オペラハウス)で開催されるそうです。
今回、深見東州さんはソリストとしては出演せず、オペラ「夕鶴」の解説者として、オペラの楽しさなどを興味深くお話しされるようですね。
7月13日には、深見東州さんの音楽評論を集めた新刊も出るそうです。
このオペラ「夕鶴」は、三木稔作曲「春琴抄」や清水脩作曲「修禅寺物語」、水野修孝作曲「天守物語」などと共に、日本のオペラを代表するオペラと言われているようですね。また、日本のオペラの中では最も上演回数が多いオペラだそうです。
戦後間もない頃に木下順二が製作した戯曲「夕鶴」に、そのまま團伊玖磨が曲つけてオペラにしたもので、その木下順二の「夕鶴」は、「鶴の恩返し」という日本の有名な民話をもとに制作されています。
「鶴の恩返し」という民話は日本各地に様々な形で伝承されているそうで、内容もかなり違いますね。木下順二の夕鶴は、鶴が青年与ひょう(よひょう)に助けられた恩返しに、若い女性つうの姿となって訪ねてくるのですが、そのまま与ひょう(よひょう)と夫婦になるという設定です。これは「鶴女房」という民話として佐渡に伝わっているものをベースにしているようですね。
しかし木下順二の物語はもう少し複雑で、つうが素敵な織物を与ひょうに与えるのですが、それが知り合いの運ず(うんず)によって高い金額で売れると、それを聞きつけた惣ど(そうど)がやってきて、与ひょうにけしかけ、つうにさらに織物を作らせます。つうは一度だけと約束していたのに、与ひょうはお金に目が眩んで無理矢理に作らせるのでした。
そして、織物を織っている時は覗かないようにと約束していたのに、運ず(うんず)と惣ど(そうど)は覗いてしまいます。さらに与ひょうも覗いてしまうと、そこには与ひょうが助けた鶴の姿がありました。つうは、自らの羽をぬいて、身を削りながら織り込んでいたのでした。本当の姿を見られたつうは、織物を与ひょうに渡すと、もう人の姿でいることはできないと言い残して、悲しみながら空へと去って行きました。
よく日本昔ばなしや、童話として絵本なんかに描かれているのは、この木下順二作の「夕鶴」を基にしつつ、登場人物を青年からお爺さんお婆さんに変えて、恩返しの物語としてわかりやすくしたものとも言われているようですね。木下順二作の夕鶴には、人間の金銭欲を通じて、戦後の商業至上主義への批判的なのも込められていると言われているようです。
そういうものを抜きにしても、もともと高い評価を得ていた木下順二作の戯曲を、ほとんどそのままオペラにしているので、ドラマとしても衝撃と感動を呼び起こすそうです。日本を代表するオペラとして、国内で親しまれるだけにとどまらず、欧米やアジアでも上演され人気を博しているそうですから。
先にストーリを紹介しましたけど、このつうの役を、ソプラノの大貫裕子さんが務めます。そして、与ひょうをテノールの所谷直生さん、運ずをバリトンの柴山昌宣さん、惣どを二期会のバス峰茂樹さんが演じます。峰さん以外の3人は藤原歌劇団の団員ですね。みなさん、「夕鶴」を何度も演じ、得意とする方々ばかりだそうです。
日本語のオペラというと、深見東州さんが主演したオペラ「聖徳太子」しか見てませんが、日本語でオペラをするというのは、なかなか難しそうな感じがしますね。オペラは欧米の言語で歌われてきましたから、日本語でオペラを歌うのはかなりの技術を要するのかもしれません。
世界芸術文化振興協会副会長で、二期会の栗林義信さんは、声楽家として最終的に日本歌曲をどう歌うのかが一番難しいというようなことを言われていたそうですけど、日本語による発生は難しいのでしょうかね。
聞きどころとしては、先ずつうのアリアが挙げられます。つうにはアリアにあたる場面が三ケ所あり、与ひょうが運ずや惣どにそそのかされているのを見て歌う「与ひょう、私の大事な与ひょう…」、家の中で寝てしまった与ひょうの傍らにある巾着袋に入っているお金を見て歌う「これなんだわ、みんなこれのためなんだわ、お金?お金?」そして約束を破って機を織っているところを覗いた与ひょうへ最後に歌う「与ひょう、からだを大事にしてね、いつまでも、いつまでも、元気でいてね…」、その他にも子供たちの登場場面、つうと与ひょうの愛の二重唱、誘惑に負けた与ひょうがつうに機織りを強要するシーン、ついに決心したつうが機を織る場面など、人間の心の葛藤がそのままオペラの場面となって綴られています。
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