先月の23日に、世界芸術文化振興協会(半田晴久会長)主催により、東京大薪能が新宿の都庁広場で開催されました。
お能は日本の伝統芸能ですけど、ふだんほとんどお能を見ることは無いので、たまには日本文化の素晴らしい舞台を見るのもいいなと思いました。
それでも、これまで何度かお能を見てますけど、なかなかお能の良さを理解できてないですね。やはり、わかりにくい芸術なのかなと思います。おそらく似たようなことを思っている人も多いような気がしますね。
そこで今回は、その日の最初に行われた深見東州(半田晴久会長)さんによる能楽入門講座の説明から、復習がてらにポイントを紹介しようと思います。
まず、お能というのは省略の芸術になるそうです。対して、中国の京劇や西洋のオペラは誇張の芸術になるそうです。オペラは感情表現がドラマチックで、かなり大げさな身振りで表現しますのでわかりやすいですよね。でも、お能の場合はその逆に、最大限に動きや言葉を省略して、内面を最大限に表現するそうです。優れた能楽師はそのような表現ができるのでしょうね。
その省略の極みは能面(おもて)にあるそうです。能面は正面からみると普通の顔ですが、少し下を向くと泣き顔に見えるように作られているそうです。そして上を向くと笑い顔に見えるそうですが、その微妙な動作で表現をしているようです。
そして、省略して省略して最後に一点豪華主義なのだそうです。なので、シテだけに的を絞って構成し、シテを際立たせるために、シテ以外の人の衣装は地味目な衣装にするそうですね。
ちなみにウルトラマンの顔も、実はお能の面からきているそうです。そして、黒澤監督の作品の「乱」の鮮やかな衣装も、お能の衣装から作られたそうですね。この衣装を作ったワダエミさんはアカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞しました。
次が、お能には序破急があるそうです。謡にも動きにも序破急があり、初めはゆっくりゆっくりですが、だんだんテンポが上がって、最後は盛り上がって終わるんですね。また、黒澤監督の話になりますけど、黒澤監督の作品には、この序破急とか、お能や狂言の影響や要素を取り入れたものがいくつかあるそうですね。戦時中には頻繁に能楽堂に通っていたそうですから。
それから、お能は一人がおもてを付け替えて、全ての役を演じるそうです。これもお能にしか無い特徴で、男の人が女人のおもてを被り、しかも声は男のままの声で、女の人の声に聞こえるというのが優れた能楽師だそうです。内面の芸で、なりきった心の声で演じるから、そのように聞こえてくるそうです。
深見東州さんは、今回のお話の中で、来年のラグビーワールドカップや、再来年のオリンピックなど、海外から増えるであろう観光客に向けて、日本文化の王道をバチーンとぶつけたいと言われていました。そのために、今回の東京大薪能では、英文や中文の解説文もしっかりと掲載されていましたし、また、同時通訳でも聴けるようにしたそうです。YouTube Liveでも日本語だけでなく、海外版も発信されてましたね。
そして来年、再来年は、さらに東京で盛大に開催する計画も考えてあるようですね。そうやって、世界に冠たる日本の舞台芸術を、世界に広めるのもNPO法人の役割だと言われていました。
しかし、肝心の日本人である私たちがそのお能のことをよく理解していなければ、ちょっと恥ずかしい気もしますので、もう少し日本文化の教養として身につけたいなと思いました。
世界芸術文化振興協会「東京大薪能」を開催!半田会長も舞う/デイリースポーツ
NPO法人「世界芸術文化振興協会」が主催する「第十七回 東京大薪能」(後援・文化庁、東京都)が、23日に東京都庁の都民広場で開催された。ユネスコの無形文化遺産で日本が世界に誇れる伝統芸術である「能楽」を、多くの人に親しんでもらい、次世代に継承されることを目的に、1998年より毎年同所で無料の一般公開として開催されてきた。都庁の改修工事もあり、17回目となる今年は4年ぶりの開催。4177人もの観客が、夜空の下、伝統芸術の見事な舞台を堪能した。
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