第4回世界オピニオンリーダーズサミットのために来日し、対話形式の質問に応じたオバマ元米国大統領の発言を、わかる範囲でまとめておこうと思います。
複数の新聞やウェブ上に公開されたものから抜き出しましたので、およその要約程度ですけどね。重複したり、前後して読みにくいところや、文体もバラバラなところがあります。
オバマ元大統領を招聘した理由について(深見東州さんの発言)
「オバマ氏は、現職の大統領として初めて広島を訪ねてくれました。あの時の決断と訪問、核なき世界を訴えたスピーチは、日本人が戦後70年間米国大統領に一番望んでいたことでした。その後、オバマ氏は、安倍首相とともに真珠湾を訪れ、戦死者を弔ったことは、両国にとって戦後を終わらせ、けじめをつけたものです。これで両国は心情的にも本当のパートナーになり同盟国になりました」
「その意味で日本国民は、心からオバマ元大統領を尊敬し感謝しています。日本国民の変わらぬ感謝を、会って直接に伝えたかったのです」
「核兵器のない世界を訴えるオバマ元大統領の主張や志は今、夢の夢かもしれません。しかし、われわれがその志を何十年も引き継ぐことによって、いつの日か実現すると確信します。少なくとも世界で唯一の被爆国である日本は、オバマ元大統領の志を誰よりも引き継ぐべき国民であると信じます。世界の現実がどうであれ、政権が代わろうと、この火を絶やしてはいけない。実現するまで志を継ぎ共に訴え続けたい。これが第2の理由です」
「そのためにも、オバマ元大統領という生けるレジェンドの存在、謦咳に触れておきたかったのです」
広島訪問について
「これはずいぶん長い間考えたテーマでした。広島を訪ねることは、私が就任した時からの私の大きな関心の一つでした。何かのやり方で、国際社会と協力し、核依存を下げたいと思っていました。広島では核兵器だけでなく、もっと幅広く戦争のことも話しました。戦争にどんな必要性があるのか。各国が緊張を下げて外交という道を探ることで戦争を回避することができると。日米関係はその象徴だと話しました。かつての敵国でも、友人や同盟国になれるし価値観を共有できます。ですので、私に取りましては、非常に大きな影響を受けた瞬間でもありました」
「現職の米国大統領が広島に行くことで核廃絶の輪に加わるのではないかと思ったのです」
「スピーチの後、被爆者の方に直接ご挨拶することができました。年老いた男性で、被害者の救済活動をしておられました」
核廃絶について
「核兵器のない世界を実現することは本当に難しい。それは核を持っている国が核削減をしようという気がないからです。しかし、もし核兵器がテロリストの手に渡ったら、非常に危険なことになります」
「これでは地球を何度も破壊できるほどだと話して、私はロシアに手を差し伸べました。両国の核兵器削減で、他国にメッセージを送れました。しかし、START(新戦略兵器削減条項)のあとで、ロシアは軍縮に興味がなくなりました。兵器の削減の進展は見られませんが、将来的にも進展しないとは限りません」
「良い諺があります。今、木を植えると、自分がその木を楽しめなくても、孫が座ってその木陰で楽しめる。各削減においても、今、種を蒔くべきです。それがシェルターになって、将来的に孫たちが守られればいい」
「権力者は戦争で普通の人が苦しむことを忘れがち。首相や大統領として特権を持ったなら、指導者として侵略から国を守らなければならないが、それと同時に紛争を避けることも指導者だからできることです」
大統領時代の業績について誇りに思うことは
「支持はされなかったけども、結果、世界経済を安定させ、不況を回避したことです。ただ、一番長く影響を持つものは、米国が指導力を発揮して中国と手を組み、パリ協定発行の道筋をつけたことです。地球の温暖化対策を進めました。それが1番の成果と自負しています」
「米国は中国とともに二酸化炭素を一番排出する二国ということで、我々も手を組んで削減するし、中国もやるということで頑張りました。それにより日本と発展途上国も一緒になって交渉に臨めました。我々がやったことは仕組みを作ること。今後に期待するのは、パリ協定をもとに、すべての国が協力すれば、経済的な発展を犠牲にしなくてもいいということです。地球のために経済を発展させ、次世代に対しても発展をもたらせます」

これからやりたいことは
「次の世代のリーダーを育みたいと思っています。世界のどこに行っても若者がいます。彼らは、理想主義的で、世界を変えたいと思っています。貧しい人やマイノリティの助けになりたいと思っている若者もいます。それぞれに良い仕事をしていますが、彼らが一緒になれば、もっと勇気づけられるのではないかと思いました。それで若者たちのプログラムを作り、お互いに学べて、拡大できツールを与えるようにしました」
「大統領を辞めてからオバマ財団を作りました。この土台に世界中の若者たちが乗って、互いに継続的な情報交換ができる場を設けたいと思い作りました」
「世界中を旅して、問題は年寄りが作ったのだと思いました。特権を得たら、奉仕するものです。権力にしがみついてはいけません」
「フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件で、多くの高校生たちが立ち上がりました。ワシントンでも何十万人が行進し、これが世界中に波及しようとしています。一握りの若者の勇気によるものです。若者はチャンスを与えられればやれる。その象徴です」
「若者たちに関与できる能力を与えるべきです。全ての組織は、若者のエネルギーや創造力をどう生かすべきかを考えなければなりません」
「若いバラクオバマ、ミシェル・オバマを作り出すことができれば、その若者たちが次世代のリーダーになってくれることでしょう」
政策決定について
「アメリカの大統領であるときには、ほかの人が解決できるようなものの解決を望まれることはありません。だれも解決したくない、厳しい問題しか大統領のもとには来ないので、簡単な解決策など無いものばかりです。そういう状況を強いられるときに、いつも大切だと思うことがありました。第一に問題に関わるなるべく多くの情報やデーターを集めることです。それで少なくとも、事実と思われることを咀嚼できるようにすることです。そして幅広く多様な意見を聞くことです。いろいろな視点や考え、対立意見が全て集まったと思ったら、しっかりした決断を下せるという満足感を得られます」
「対立意見も聞いた。政権内が一方向しか見ないのは危険なので、対立意見に耳を貸した。賛同しかしない人物は危険だ。異論を唱えてくれる人は必要だ」
「『イエス・サー』や『あなたは賢いですね』などと述べる人物で周りを固めないことです。幸い、私のスタッフも妻や娘もそうではありませんでした」
米国の現状について
「人々は自分の世界観に合ったニュースを選ぶようになり、偏っている。もっと客観的な事実に基づき議論すべき」
北朝鮮について
「北朝鮮は、世界にとって深刻な脅威になっている。我々の見方はいつも変わっておらず、できることなら、外交で平和に解決したいと、それが私たちの望む道だ」
「これまでは明らかにわれわれが期待したほどの前進はみられなかった。しかしこの問題は、どこの国であれ、われわれが団結して臨むほど効果的には一国では解決できないと認識しておくことが重要だ」
「私たちは決意を持っている。日本とアメリカ、同盟国が協力すること、韓国も然りで、北朝鮮問題の解決には国際的な協力が必要。国連を通じた圧力強化で北朝鮮を孤立させ、中国と協力できれば、効果的に北朝鮮の政策を変えられるのではないか」
「米国は北朝鮮によるミサイル攻撃の可能性から朝鮮半島および周辺国を守る防衛システムを確実に配備しなければならない」
「最終的に北朝鮮は、他の国を攻撃するかもしれない。そうなれば同盟国と自国を守らなければならない。ただし人間の命の代償は非常に大きく、犠牲は避けなければならない」
「国際的な規範の外にあり国際社会から断絶した国へ圧力をかけることはとりわけ困難なことだった」
日米関係について
「日本の方々に申し上げたいのは、強い日米関係を維持してください。そして、私たちが戦後作り上げた友情の絆を守ってください。これは二国間だけでなく、平和と繁栄の要の石になっています」
「法の支配や、民主主義とか、他者を尊重する機運ですとか、私たちが分かち合っている価値観を、これを日米でできれば、ときには雑音もあるかもしれませんが、それでも二国間の信頼は続いていくでしょう」
「異人 深見東州の実像」から引用
2024年暮れに、ジャーナリスト小林圭一郎氏の著作「異人 深見東州の実像」がたちばな出版から出ました。これは「月刊 TIMES」で長期連載中の「異能の人・深見東州の履歴書 この人物は何者なのか」の記事から、いくつかを編集して出版したものになります。
その著作の最初に掲載されている第1章 「深見東州になぜ世界の大物か集まるのか」のオバマ大統領を招聘した時の記事の部分が参考になると思いますので引用します。

「第4回世界オピニオン・リーダーズ・サミット オバマ前大統領との対話」開催 。未来への火を絶やさない! オバマと深見東州—志を共にして世界を動かす
二〇一八年三月二十五日、東京・ベルサール高田馬場で、「特定非営利活動法人世界開発協力機構 (WSD・半田晴久総裁)」が主催する、「第4回世界オピニオン・リーダーズ・サミット オバマ前大統領との対話」(後援・外務省) が開催された。 これまでのサミットにも各国の要人を招聘し、世界貢献や国際支援などについて対話してきたが、今回はバラク・オバマ元アメリカ大統領の来日というミラクルを実現させた。半田晴久 (深見東州) 氏の熱意が不可能を可能にし、世界を動かしてゆく。
なぜバラク・オバマを招聘したのか
オバマ元アメリカ大統領が、大統領退任後初めて来日という電撃的ニュースに、「まさか、本当に?」と驚いた。半田晴久 (深見東州) 氏が会長を務めるWSDが招聘に成功したのだ。世界中のリーダーと友好関係を築いてきた深見氏とはいえ、オバマを呼ぶとは!
「世界の大物を呼ぶ、深見東州って何者なの?」と、誰もが不思議に思うだろう。 WSDは、NPO法人として、経済的・社会的困難な人たちの援助、福祉、学術、 教育支援や国際交流、国際協力など、さまざまな支援を行ってきている。
二〇一三年九月に東京で、「世界平和と日本の貢献」というテーマで、第一回世界 オピニオンリーダーズ・サミットを開催した。この時は、トニー・ブレア元イギリス首相をスペシャルゲストとして招聘した。 第二回目 (二〇一三年十一月) には、元アメリカ大統領・ビル・クリントンと元国務長官のコリン・パウエル氏が参加して大きな話題を呼んだ。第三回目 (二〇一四) も再びトニー・ブレアなどをゲストに、「グ ローバリゼーションにはチャンスと課題がある」というテーマで開催した。いずれにも世界のヤングリーダーたちが参加している。
WSDは、世界の平和や次世代のリーダーの育成に力を入れている。今回招聘した、 オバマ氏の目指すところと大いに共通していることがおわかりだろう。
オバマ氏は、二〇一六年、アメリカ大統領として初めて広島を訪問し、大統領退任 後も核廃絶など世界の平和を訴え続けている。激しく揺れ動く国際情勢の中で、各国のリーダーの果たす役割は大きい。だからこそ、強いリーダーシップと影響力を持つ、 オバマ氏の来日は注目を集めた。
三月二十五日、サミットの会場は、「ナマのオバマの話が聞ける」と期待感に満ちていた。二千人を収容する会場は、はやばやと満席になった。高校生などの若い人の姿も多く、幅広い年代の参加者が、オバマ・アメリカ元大統領の登場を待ち構えた。 後方には、たくさんのマスコミカメラが並び、メディアの関心の高さを物語っていた。
初めに、主催のWSD総裁の半田晴久氏が和服姿で挨拶にたち、「オバマ氏を大統 領退任後初めて日本にお招きする機会を得られて光栄です」と、喜びを語った。
そして半田氏は、オバマ氏を招聘できたことに対して、次の二人にお礼を述べた。 一人は、今回のオバマ氏招聘を発案し実現させてくれた、サー・ジョン・キー (WSD名誉総裁・ニュージーランド前首相)。もう一人は、今回インタビューをする、ブレンダン・スキャネル元駐日アイルランド大使である。
半田氏は、オバマ前大統領を招聘した理由を二つ挙げた。一つは、「オバマ前大統領は現職のアメリカ大統領として、初めて広島を訪問し、 原爆の惨状を直視した方です。 彼の核なき世界を訴えたスピーチは、日本人が一番望んでいたことでした。日本国民は、心からオバマ前大統領を尊敬し、感謝しているということをオバマ氏に会って直接伝えたかったのです」
二つ目は、「WSDは南アフリカで多くの社会貢献プロジェクトを展開しています。 同国のアパルトヘイトを廃絶したネルソン・マンデラの偉業は、世界で初めて黒人としてノーベル平和賞を受賞した、アルバート・ルツーリの志を継ぐものであることを知りました。 ルツーリの生涯をかけた志を受け継いで、マンデラが実現させたのです。 核兵器のない世界を訴える、オバマ前大統領の志は今は夢かもしれません。しかし、 我々がその志を何十年も引き継ぐことで、いつの日か実現すると確信します。 この火を絶やしてはいけない。実現するまで、志を継ぎ、オバマ前大統領とともに訴え続けたいのです」と熱く語った。
深見氏とオバマ氏の間には、「平和の火を絶やさない」という共通の使命感がある のだ。
ここで大きな拍手とともに、ブレンダン・スキャネル氏とバラク・オバマ前大統領 をステージに迎えた。オバマ氏は「半田先生、感謝です」と、深見氏と力強く握手を交わした。歴史的瞬間であった。そしてブレンダン氏が、オバマ氏に質問する対話の形でインタビューが進められた。
将来世代のために、平和の種をまくこと
オバマ氏は大統領の時代に、広島を訪問し核廃絶と平和を訴えた。またパリ協定に よる地球温暖化対策に、国際協力を呼びかけ成功させている。
ブレンダン氏の質問も「核の廃絶と、オバマ氏が二〇一六年に広島を訪問した理由は何か」から始まった。
オバマ氏は、「就任時に、核への依存を下げたいと思っていました。そのためには 国際協力が必要と考え、アメリカ、ロシアの間でSTART条約 (戦略兵器削減条約) を締結し、プラハでも具体的なスピーチをし、世界中で協力していこうと訴えました」 と言う。
広島訪問については、「現職のアメリカ大統領が、初めて広島に行くことで、核廃絶の輪を広げられるのではないかと思ったのです」「私はただ核兵器だけでなく、もっと幅広く戦争の話をしました。各国が緊張を緩和し外交を進める道をとることで、戦争を回避できるのではないか」と述べた。
日米関係については、「かつての敵国同士が、素晴らしい友情で価値観を共有することでお互いに繁栄できる」と、広島訪問時に年老いた被爆者に挨拶し、交流した体験を交えて語った。
「首相や大統領などの権力を持つ指導者として、侵略から国を守らなければならないけれど、同時に紛争も避けるのが指導者というものです」とオバマ氏は自身の指導者像を描く。
核については、北朝鮮の脅威もある。ブレンダン氏の「北朝鮮の脅威と日本の役割はどうか」という質問には「これは世界の脅威です」と断言した。
「できるなら外交で平和に解決したいと思います。日本とアメリカ、韓国も協力して圧力をかける。中国にも協力してもらい、日本と同盟国が足並みをそろえて協力するのが私の戦略です」と日本や同盟国との協力の重要性を強調した。
「北朝鮮は、圧力をかけ続けていると、他の国を攻撃するかもしれない。そうなったら、アメリカも自国と同盟国を守らなければなりません。ただし、人間の命の代償は非常に大きいから、できるだけ犠牲を避けなければいけませんが」と、強い覚悟をのぞかせた。
ヨーロッパの核削減についても、その難しさを語ったオバマ氏だが、こんなことわざを披露した。
「誰が言ったか忘れましたが、いま木を植えると、自分がその木を楽しめなくても、 孫がその木の下に座って日陰を楽しめる」と。「だから、核の削減においても、いま種をまくべきです。 将来それがシェルターとなって、孫とかが守られるようになればいい」
次にブレンダン氏の「大統領としての八年間を振り返って、どのような国際的な業績を誇りにしていますか」という問いにオバマ氏は、
「多分一番長い影響力を持つのは、パリ協定だと思う」と答えた。二酸化炭素を多く排出している中国と、関係諸国が手を組めたことで頑張れたと言う。
「我々がやったのは仕組みを作ること。長期的には、本当に二酸化炭素削減を大幅にできたらと思っている」
地球温暖化対策はオバマ氏の大きな業績であった。日本にも大きな期待を寄せた。
「私が期待するのは、パリ協定をもとにすべての国が力を合わせれば、経済的な発展は犠牲にしないでいいということ。地球のために経済を発展させ、将来世代に対しても発展をもたらすことができる。 それが、一番大きな成果と自負している」と語った。
リーダーに共通する資質とは
ブレンダン氏の質問は、オバマ氏の今後の目標にまで及んだ。
「自分に影響を及ぼした本は何か」という問いかけに、オバマ氏は、
「十六歳くらいの時、いろいろな方の自伝を読んで、中でもガンジーの自伝を読んだ時、勇気があるなと思ったのです。非暴力主義をインドで生み出したのは本当に素晴らしい」と、ガンジーのことを最初にあげた。インドの国民を啓蒙しただけでなく、イギリスの国民に対しても啓蒙した、本当に崇高なあり方だと思ったという。
「私自身、暴動にさらされたとしても、リーダーシップを行使するにあたり、一切武力を使わないことが大切であると学んだ」
読書大好きという点で、オバマ氏は深見氏と同じだ。オバマ氏は、「素晴らしい日本の小説を読む時間もできて嬉しく思います」と述べた。
強力なリーダーシップを発揮してきたオバマ氏に、ブレンダン氏は「逆境に直面した時、何を頼りに決断されるのですか」と聞いた。
オバマ氏は、「誰も解決、決断したくない厳しいことしか大統領の手元に来ないので、 シンプルな解決策なんてないものばかり」と答える。
「情報を収集し、問題にまつわるデータを収集すること。そうすることで、事実を自分で咀嚼できる状況を作る。加えて、いろいろな見方を意見としてしっかり聞くこと です。すると、問題の切り口がいろいろな角度から理解できる。それで、やっとすべての情報が集まると、私はしっかり決断が下せる。すべてそろった情報の中で、一番いい決断を自分でできる自信が持てる。そういうアプローチをとるようになりました」
オバマ氏はさらに、意思決定をした後間違える確率を理解し、そのリスクにヘッジ をかけ、間違えたときにどう対策を講じたらいいかを考えていたという。
多彩な芸術活動や事業、イベントを世界で展開する深見氏は、きっとオバマ氏と同様の、自分なりの「重要な決断をする決め手」を持っているのだろう。
一方で、オバマ氏は「孤独で厳しいことはあります」と大統領の厳しさをにじませた。
オバマ氏は大統領退職後も、オバマ財団を立ち上げグローバルに活躍している。 ブ レンダン氏は、「今後どういうことをされたいですか」と今後のことに質問を向けた。
オバマ氏は、「たくさんの時間を妻ミシェルと過ごせる」と答えながらも、目は未来に向けていた。55歳で大統領職を離れ、何か有益なことをしたいと思っていたという。
「決意していたのは、次のリーダーを世界で育むこと」だと言う。オバマ財団を立ち上げたのもその狙いであった。大統領時代に感じたのは、どこに行っても理想主義的な若者がいて、世界を変えたいと思っていることだったと言う。どんなジャンルにでも、貧しい人達、障がい者を助けたいと思っている若者がいることが分かった。だから、彼らが一緒になって活動できるプログラムを作ったと言う。オバマ財団の狙いはそこにある。
「ここに大きな土台を作り、アメリカや世界の若者が土台に乗って、同じプラットホ ームで情報を交換する。 継続的な情報交換の場を作りたい」。つまり、若いバラク・ オバマ、ミシェル・オバマを作り、次世代のリーダーを作ること、特に女性の活躍の場をもっと増やしたい、とも語った。
ブレンダン氏の巧みな質問で、語られることの少なかったオバマ氏の大統領時代の話がいろいろ出た。「大統領であることで、皆が驚くようなことがありますか」という質問に、オバマ氏はアメリカ大統領といえども、「自分でスーパーで買い物をしないといけません」と言って、会場を和ませた。
大統領になって発見したことは、例えば国際対策に関わっている人が、国際秩序を整備し続けるために長い間就任し、各国間の貿易、商業とか、パブリックヘルス (公共の健康) のイニシアティブに長年関わって仕事をしている。大統領も、そういう人が仕事をしてくれるから成果を上げられるというのだ。
「何百万人の命の危機を乗り越えることができたことがあります」。これを実現できたのは、病気を管理するセンター、軍がいろいろな国に薬を届け、医療派遣にも一丸となって当たることができたからだ。アメリカでは、これらの仕組みはオバマ氏が大 統領になる前からあるのだが、
「皆が仕事をやる気が出るようにすることが実現できたこと。問題が起きたら、そこに助けを送ることができるようにしたことです」と言う。これこそリーダーの資格と言うべきだろう。
最後に、オバマ氏は日本についての思い出を語った。
「六歳の時、母との旅行で初めて日本に来ました。新幹線でいろいろな場所を訪れた中でも、鎌倉の大仏を見た後に、お餅と抹茶アイスクリームを食べたのをよく覚えて います。その時から、日本を愛するようになりました」というエピソードを披露した。
「そんな日本の方に申し上げたいのは、強い日米関係を維持してください。そして、 私たちが戦後作り上げた、友情の絆を守ってください。 二国間だけでなく、アジア太平洋の平和と繁栄の要の石となります」という、メッセージを送ると、会場いっぱいに大きな拍手が鳴り響いた。
今回のサミットを通じて、オバマ前大統領とWSD・深見氏の間には、共通する使命感があることがお分かりになるだろう。だから、今回のオバマ氏招聘は、必然的な出会いであったことも分かる。そして、二人に共通する熱い絆が、世界に平和をもたらす大きな力になるだろう。オバマ氏の「Yes we can! 」の精神は受け継がれていく。

オバマ氏と深見氏に共通する、「リーダーの資質は熱意」
ニュージーランド元首相で、 WSD名誉総裁のジョン・キー氏が閉会の挨拶をした。 ジョン・キー氏はオバマ氏について、「素晴らしいリーダーであり、熱意を持っていらっしゃいます」と言い、大統領時代の数多くの功績をあげながら、オバマ財団で世界中 に若いリーダーを育ててほしいことを願った。また、半田氏についても、ニュージーランドで地震の被害に対して支援してくれたことに感謝し、オバマ氏と半田氏が「どちらも信じていることは共通しており、他の人を助けたいという信条です。二人とも、すべ ての人の意見を聞く聞き手であることも共通しています。 外から学ぶ視線も同じです」 という。「リーダーの資質は熱意です」 という点も二人に共通することだった。
『月刊TIMES』 2018年7月号に掲載
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