今年の夏に、北アイルランドで開催されるISPS HANDA ワールド・インビテーショナルの話題を紹介します。
この大会の特徴は、なんと言っても男女のトッププレーヤーたちが、同じコースで、同じ時間に、同じ賞金額をかけてプレーをすることですね。
アマチュアもそうかもしれませんが、プロスポーツの世界では、男子と女子の格差が非常に大きなスポーツも多いですよね。
サッカーは、その典型のように思います。野球に至っては、女子にはありませんよね。ただ、それは体力的なものが関係しているでしょうし、何より男子の人気が圧倒的なので、スポーツの世界ではそんなものかなと、別に違和感を感じたことはありませんでした。
でも、最近は男女におけるスポーツの格差についても、いろんな意見が出てくるようになりましたよね。男女のプロアスリートの収入格差についても、目にする機会が増えました。
日本のゴルフ界のように、女子ツアーが男子ツアーの人気を凌駕しているケースもありますけどね。しかし、人気の理由は、女子選手のアイドル性にあるとしか思えないので、それがアスリートにとって健全なのかと言われると疑問ですけどね。
たしか、深見東州さんも心配されていたかもしれませんが、私が思うには、実力というよりも、容姿やスタイルの魅力などを商品価値として、スポンサーから扱われている感じがしています。
ゴルフだけではなく、他の多くのスポーツでも、それは大なり小なり言えると思います。だからどうなのと言われても、それが現実なのでしょうからね。それらが差別や偏見、格差につながるのは感じますが、どうして良いのかはわかりません。
そんな中で、ISPS HANDA ワールド・インビテーショナルのような男女同額、同時間、同じコースでの開催というのは、そんな問題に一石を投じる大会になりそうな気がしています。
さらに、プロ選手だけではなく、アマチュア選手も数名参加します。
先日、発足したばかりのゴルフ・アイルランドの主催で「ISPS Handa Ulster Men’s and Women’s Stroke Play」というトップアマチュアによる大会が開催されていました。この大会には81人の男女アマプレーヤーが参加し、男子の上位2名と女子の上位1名に、ISPS HANDA ワールド・インビテーショナルへの出場権が与えられました。
さらに、先日の記事で紹介しましたが、「ISPS HANDA ワールド・ディサビリティー・インビテーョナル」という国際的な障害者ゴルフの大会が、同時開催されることになりました。
こうなってくると、男女平等ということにとどまらず、この大会には、もっと大きなテーマが含まれているように思います。
これらの大会を主管する欧州男子ツアーのキース・ペリー氏は、ツアーのコアとなる価値観として、よくinclusivity and innovation という言葉を使っています。イノベーションは革新性と訳されますが、inclusivityは包括性と訳すようです。包括性と言われても意味がわかりにくいですが、多様性があり、公平に扱われ活かされている状態、という感じになるかと思います。
以前、ニュージーランドで人種・宗教差別的なテロが起きた時、アンダーソン首相が、ニュージーランドは200の民族と160の言語からなるインクルーシブな国だと言って多くの共感を得ていたそうです。ニュージーランドは世界有数の多様性を持つ国ですが、それらの人々の間には壁はない、「私たちはひとつ」ということを強く訴えました。
そういう意味で、今年の「ISPS HANDA ワールド・インビテーショナル」は、今の世界にとって大切なテーマとなる、男女平等を超え、人種を超え、障害を超えた、あらゆる人たちを包含する、革新的な大会になるように思います。
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