昨年12月に世界開発協力機構(半田晴久総裁)が主催した世界人権サミットのことが、毎日新聞に掲載されてました。わかりやすく当日のポイントが整理されています。

第1部は、非公開の会議でしたが、人身売買は、今や巨大なビジネスになっているとの指摘がなされています。そして、グローバルな公共政策と同時に、貧困と腐敗を一掃するローカルな対策が必要との、大きな枠組みが提示されています。
日本で普通に暮らしていると、ほとんど人身売買の様子はわかりませんし、また、マスコミもそれほど報道しているように思えません。
しかしながら、日本は人身売買に多く関わる国として、アメリカからも再三指摘を受けていたことも、今回のサミットで知りました。日本は人身売買の買い手国として、また中継国として、知らないところで人身売買がなされているそうです。
表に出てきた事件でいうと、ほとんどが強制売春などの性的搾取ですね。愛人にしたり結婚が目的の売買もあります。結婚は、お互いがそれで幸せになるならともかく、多くは騙されて日本に連れてこられるケースが多いようです。悲しいことです。
背景には苦しい生活や不自由な生活があり、日本に行けばもっといい暮らしができると簡単に騙されてしまうのでしょう。当然女性が多く、取引の需要あることも恥ずかしいことですが、それが実態なんですね。
日本以外では、子供たちをまるで商品のように世界中で売買しています。強制労働させられる人たちも多く、安価な商品の中には、そういう人たちの強制労働によって作られたものもあるのでしょう。

深見東州さん(半田晴久総裁)は、国内では十分に認識されてないものの、人身売買はテロや貧困とも密接に関係していると言われていました。人身売買には、テロ組織が大きく関与しているようで、実際に兵士として教育し、自爆テロに使ったりしているとニュースで報道された事もあります。
とても根が深い問題であり、表に出てきにくい複雑な事情もあるので、余計に対策を遅らせているようにも感じます。人間の尊厳というものをまるで無視した、人道的に許されない犯罪なので、今回このような世界人権サミットが開催された意義は大きかったと思います。
こうやって多くの人の目に触れることが大事であり、そこから政治家も動き、民間組織も動き、撲滅へと向かって欲しいですね。今回は政府の高官も出席していましたから、余計に効果的だったと思いますし、何よりグローバルに世界の専門家が集まって発信するメッセージは、影響力も大きいのではないかと思います。
企画者として、主宰者として、モデレーターとして、深見東州さんは今回も八面六臂の活躍でした。このような人権に関わる諸問題、そして密接に関わりがある民主的な選挙の推進など、アジアを中心にこれまで大いに取り組んでこられています。
貧困も紛争も人権も民主化も教育も、すべては関連しつながっていますし、また、国を超えて取り組まなければ解決しない問題が多いと思います。なので深見東州さんのようにグローバルな視点を持って活動し、様々な問題解決に取り組んだ経験豊富な人が中心になっていけば、希望が見えてくるのではないかと思った今回のサミットでした。

それから、週刊エコノミスト2016年1月26日号に、WSD人権サミットに関する記事が載っていました。大事な内容の一端がよくわかる記事なので、そちらの記事を引用したいと思います。
人身取引の撲滅に向けた世界戦略の構築を目指して
政財界や学会から国際的リーダーが集い、グローバルな視点で重要な人権問題を討論する「WSD世界人権サミット」が、2015年12月13日、東京都江東区の東京ビッグサイト・国際会議場で開催された。サミットでは、世界が直面している人権問題「人身取引(売買)」の撲滅に向け討論が行われ、パネリストとしてオリンピック競泳金メダルのイアン・ソープ氏も参加した。
一般公開セッション第1部では、まず主催者であるWSD(世界開発協力機構)総裁の半田晴久氏が開会を宣言。「今日は、欧米、ASEANから国際的リーダーの皆さん、そして日本からは高村正彦自民党副総裁、城内実前外務副大臣をお招きした。サミットには3つの意義がある。一つはテロと同等の重要な問題「人身取引」について一般の人に広く理解していただく。2つ目はさまざまな専門分野の方々が意見を交わしネットワークを作る。3つ目は各国において政策が動く契機とすることだ。今日は世界的問題である人身取引を終わらせる世界的戦略について議論を深め、有意義なていげんが生まれる機会としたい」と、サミットの意義を紹介した。
紛争をなくしてこそ人身取引が断ち切れるーサティアンタイ氏
第1部の冒頭、あいさつにたった高村氏は「手口が巧妙化する人身取引の撲滅には各国の連携が不可欠。わが国も国際社会において率先して役割を果たしていく。2014年には「人身取引対策行動計画2014」を策定しており、アジア諸国などからの支援要請に対応することも重要な役割だ」と言明。
次にタイのスラキアット・サティアンタイ元副首相が基調講演を行い、「ILO(国際労働機関)によれば、人身取引の半数以上がアジア太平洋地域。しかも私たちは人身取引の被害者が作らされているシャツや靴を使っているかもしれない」と問題を提起。「重要なのは人身取引のサイクルを断ち切ることだ。人身取引と紛争は絡み合っている。紛争がなくなってこそ人身取引の条件を断つことができる」と述べ、「他人を苦しみから解放せぬ限り人の心に平和はなし」という東洋のことわざを紹介した。
城内氏は「人身取引は日に日に脅威を増している」と現状に警鐘を鳴らし、国際社会が連携して4つP「Protection(保護)、Prosecution(訴追)、Prevention(予防)、Partnership(パートナーシップ)」に取り組まなければならないと呼びかけた。
続いてパネルディスカッションに移り、元ASEAN事務総長でHRRC(人権リソースセンター)理事長のオン・ケン・ヨン氏が発言。現在の課題として、ASEAN各国で関係機関の法整備が十分ではないことや一般国民が問題を十分認識していないことに言及し「人身取引の被害者の多くは仕事を求めている。経済環境を改善し雇用を増やすこと、児童に対する労働環境整備をすることが重要。母国で仕事ができるようになれば、雇用を求めて外に行かなくてよくなる」と述べた。
貧困や教育改善には政治的意思が不可欠ーエイモス氏
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院長のヴェレリー・エイモス氏は、「ASEANのみならず、人身取引の背景には貧困、教育不足、雇用機会不足などがあり世界的な課題だ。英国にも安価な労働力として連れてこられる人が数多くいる。そうした人たちを保護するためには、国レベル執行する政治的意思が伴わなければならず、法律を必要な行動につなげなければならない。売買されている人の顔を思って取り組み、政治的レトリックで被害者を責めてはいけない」と訴えた。
続く、人身取引の撲滅に向けた世界戦略を話し合うセッション第2部では、まずサミットに参加できなかったハッサン・ウィラユダ元インドネシア外務大臣のメッセージを、オン・ケン・ヨン氏が代読。「人身取引は人間に対する重罪であり、もっと政治的に重みをおいて、強制労働が人権問題であると国際機関が理解すべき。そしてASEANのような政界各地域の機関が、民間企業や団体と協力関係を結んで問題解決にあたることが重要」とのコメントを紹介した。
パネルディスカッションではWSDハンダセンターシニアフェローのベス・ヴァン・シャーク氏が米国の戦略を解説。「われわれは人身取引の被害者を保護する法律を持っている。これにより刑法上の罰則が設けられ、また被害者が米国にとどまれる措置を取ることもできる。サプライチェーンについても保護措置を講じ、企業に強制労働者がいないか確認する機関がある」と述べた。
これを受け、同じ米国のWSDハンダセンター顧問、デイヴィット・カーデン氏は、税制を良くして収入が得られるようにするべきだとした上で、「人々に生活の糧を与えるのが政府の仕事。世界中でそれをしていない政府があるから人身取引が出てくる。財界にも、人々に基本的なメリットを供給して人生をよ良くする重要な役割がある」と指摘した。
強制労働の問題解決には透明性が必要ーソープ氏
マレーシアから参加したWSDハンダセンター顧問のダト・シャマラ・アレゲンドラ氏は、本来は問題に対処すべき国連の援助機関の職員が、性的搾取に関わっている実態を報告。紛争地域では多くの人々が安全を求めて避難キャンプに行っても、そこで虐待に遭っている現状があると訴え、「本来は被害者を支援すべき人々が罪を犯している問題を皆さんと共有したかった。紛争地域に支援要員を派遣している国には、そうした現実を認識し、この問題の解決に向け行動を起こしてほしい」と呼びかけた。
サミットにはオーストラリアの元競泳選手、イアン・ソープ氏も参加。オリンピックで9個のメダルを獲得したソープ氏は、「イアン・ソープ基金」を設立して難病と戦う子どもたちを支援したり、政府にスポーツ政策を提言するなど幅広い活動を行っている。
発言の冒頭ソープ氏は、オーストラリアのレストランでメニューの魚介類が色分けされていた体験を話し、青が持続可能な資源で黄色は現在大丈夫な資源、赤は保護が必要な資源だとすぐわかると紹介。同じように児童の労働問題も、その子どもがどこから来たのか分かる透明性が必要だとして、「強制労働によってものを作っている企業は、持続可能な企業ではないと認識しなければならない。きちんと報酬を払って人間の尊厳を守らなければならないし、製品を買う消費者にもその意識が必要だ」と強調した。
最後に半田氏がサミットを総括し、「各国政府が取り組むと同時に、一人ひとりが人身取引の被害者のために何ができるかを考え、力を合わせれば必ず良い方向に向かっていく。今回のサミットが、明るい希望に進んでいく一つの転機になることを期待する」と締めくくった。
コメント