第1幕 アルマヴィーヴァ伯爵邸
フィガロとスザンナは窮地の婚礼の日の朝。二人の新しい部屋。
フィガロ+スザンナ 二重唱
フィガロ(深見東州さん)は、寝具を置くために鼻歌まじりで部屋の寸法を計っています。スザンナ(大貫裕子さん)は、髪飾りを誰よりも早くフィガロに見せようとしますが、フィガロは、この部屋が伯爵がスザンナを誘惑するのに好都合であることを知らされ、憤慨します。
フィガロ
初夜権(領主が新婦と一夜を共にできる封建的特権)を使おうとする伯爵の下心に、フィガロは、スザンナを守る決意します。ここでアリア、「殿様がもし踊りをなさりたければ」が歌われます。
マルチェリーナ+スザンナ 二重唱
借金の証文を盾に、フィガロに結婚を迫るマルチェリーナと、婚約者スザンナとの女の意地の対決。優位であったはずのマルチェリーナが、言葉巧みなスザンナに言いくるめられます。
ケルビーノ
伯爵夫人に恋焦がれるケルビーノ。その多感な心が、あらゆる女性を讃えあげます。
そして、伯爵が来たのでケルビーノは慌てて物陰に隠れます。
伯爵+バジリオ+スザンナ 三重唱
まるでケルビーノと伯爵の隠れんぼ。バジリオまでもが来るので、スザンナは四苦八苦。隠れるケルビーノを発見した伯爵は、怒り心頭。愉快この上ないのはバジリオです。
決めポーズ「シェーッ!」
合唱
フィガロが村人を連れて来ます。みんなは伯爵を讃えますが、伯爵は居心地が悪そう。
フィガロ
伯爵にとってケルビーノは、目ざわりな存在。戦地への赴任を命令します。フィガロはケルビーノをからかいつつも、伯爵に対して確固たる意志を示します。
このオペラの中で最も有名なアリア、「もう飛ぶまいぞこの蝶々」が歌われ、ケルビーノは桃太郎に変身させられます。
第2幕伯爵夫人ロジーナの部屋
同じ日の午前中。
ロジーナは、夫の不実に苦しみます。それでも尚、夫を愛している女心をアリア「愛の神様よ、安らぎを与えたまえ」で歌いあげます。
ケルビーノ
伯爵夫人への高鳴る心を詩に託し、有名なアリア「恋とはどんなものかしら」を歌います。夫人もケルビーノにどこか心惹かれます。
スザンナ
スザンナは、伯爵夫人の前でケルビーノを女装させます。これは、ケルビーノを女性に仕立て、伯爵夫人と密会させるというフィガロの計画の一環。
伯爵+伯爵夫人+スザンナ 三重唱
そこへ伯爵が現れます。伯爵夫人は衣裳部屋にケルビーノを隠し、スザンナがそこで着替えていると必死で嘘をつきます。別の部屋から戻ってきたスザンナは、ことの次第に驚きます。
スザンナ+ケルビーノ 二重唱
ケルビーノは、窓から庭へと逃げ出します。代わって、機転を利かせたスザンナが、衣裳部屋に隠れます。
衣裳部屋を捜そうとする伯爵。中にいるのはケルビーノと告白する伯爵夫人。しかし部屋から出てきたのはスザンナでした。
庭師アントニオの登場。
歌詞のタイミングにピッタリのパントマイムを披露する深見東州さん。自由な発想で音楽を創ったモーツァルトと同じように、深見東州さんは、これまでの「フィガロの結婚」にはないパフォーマンスを披露します。
フィナーレ
フィガロが登場して一件落着かと思いきや、庭師アントニオ(筒井修平)が現れ、二階から人が飛び降り、植木鉢が壊れたと訴えます。さらに、マルチェリーナがバルトロとバジリオを連れて現れます。借金の証文を示し、フィガロとの結婚を許す判決を要求します。フィガロとスザンナは窮地に立たされます。
第3幕伯爵の部屋。後に結婚式の場
同じ日の午後から夕方。
伯爵+スザンナ 二重唱
伯爵は、身の回りで起きる出来事にイライラしています。
スザンナが来て、伯爵の想いを受け入れると告げるので、彼は喜びを隠し切れません。それが妻の計画とも気づかずに。
伯爵
とはいえ、何かきな臭さを感じる伯爵。フィガロごときに負けてなるものかと、その煮えたぎる心の内をアリア「復讐の望みだけが…」を歌います。
伯爵+クルチオ+フィガロ+スザンナ+マルチェリーナ+バルトロ 六重唱
ドン・クルチオ(牧川修一)が、マルチェリーナにフィガロとの結婚を許す勝訴の判決を言い渡します。しかし事もあろうか、フィガロの右手の痣からマルチェリーナとバルトロがフィガロの両親であるという新事実が発覚。急転直下、スザンナも交え親子再会の喜びと驚きの6重唱となります。このシーンは、深見東州さんのリアリティーとユーモアあふれる演技が光ります。
出演者の中には、「フィガロの結婚には何度も出演したが、この場面がこんなにうけたのは初めて!」と驚き、感心していたそうです。
3人が喜び合っているのを観て、フィガロが心変わりをしたと勘違いするスザンナ。そして、フィガロにビンタ!
その後、真相が解って安心するスザンナ。
ロジーナ
伯爵夫人は、スザンナの手を借りなければ、夫の愛を取り戻せない屈辱を味わいながらも、夫への一途な想いを断ち切れない心境を、アリア「あの楽しかった思い出はどこへ」で吐露します。
伯爵夫人+スザンナ 二重唱
伯爵夫人は、自らの計画を実行するために、スザンナに伯爵への恋文を番傘に書き取らせます。ここで有名な美しい二重唱が歌われます。
女声合唱
村の女性たちが、伯爵夫人の元へ花をプレゼントに来ます。皆にまぎれてバルバリーナと一緒にいた娘姿のケルビーノが、またしても伯爵に見つかります。しかし、ここはバルバリーナの機転で、からくも切り抜けます。
花娘+出演者全員+合唱
スザンナとフィガロの結婚式の場。急きょ結婚式を行うことになったマルチェリーナとバルトロも加え、二組の婚礼が執り行われます。二人の花娘が祝いの歌を披露する中、スザンナはそっと伯爵に恋文を手渡します。彼はここでも夫人の計画とは気付かず、喜び勇みます。
第4幕お屋敷内の庭園
同じ日の夜から次の日の夜明け。
伯爵とスザンナに扮した伯爵夫人の逢引の場。
バルバリーナ
バルバリーナは暗闇の中、手紙に付いていたピンを必死に探しています。婚礼の後、伯爵からスザンナに返すよう、頼まれていたピンです。
バジリオ
男と女のあやなす恋愛ごとが大好きな音楽教師バジリオ。マルチェリーナと婚礼をあげたバルトロを前に、火傷をしない恋愛術、身の処し方を教訓話として披露します。
フィガロ
フィガロは、結婚式の最中に、恋文がスザンナの手から伯爵に渡ったことを知ります。
彼女の裏切りをなじり、嘆き悲しみ、有名なアリア「その目を大きく開くのだ」を歌い上げて退場します。
スザンナ
スザンナは、彼の激しい怒りに、フィガロの愛情の深さを感じます。しかし、ここは少し茶目っ気を出し、わざと思わせぶりなアリア「ついにその時が来たわ…、愛しき方、早くここへ…」を聞かせます。
その後、伯爵夫人に変装して登場するスザンナ。その声に、フィガロはすぐにスザンナと気づき、今度はわざと夫人の服を着たスザンナを口説きにかかります。そんなフィガロにスザンナは怒り泣きますが、「最初から声で君だとわかっていたからやったのだ」というフィガロの言葉で二人は仲直りし、愛を確かめ合います。
フィナーレ
いよいよ大詰。伯爵夫人とスザンナが入れ替わっていることを見抜けない人々が右往左往します。伯爵は夫人をスザンナと思い込み、宝石をプレゼントします。
伯爵夫人の逢引き計画は功を奏し、伯爵は皆の前で自分の行いを妻に謝ります。夜明けと共に皆は賑やかに愛を讃え合い、ハッピーエンドの大団円となりました。
見事な柳川の「さげもん」雛飾りを思わす舞台装置。
終演後
終演後、幕の中にて記念撮影。
オペラ「雛祭りのフィガロの結婚 」 W・A・モーツァルト作曲「フィガロの結婚」全四幕 原語上演(字幕付き)
- 公演日
- 2005年9月15日
- 会 場
- ゆうぽうと簡易保険ホール
- 後 援
- 毎日新聞社/TOKYO MX
- 主催・製作
- NPO法人 世界芸術文化振興協会(IFAC)
スタッフ
- 指揮
- 河地 良智
- 演出
- 大島 尚志
- 総合プロデューサー
- 深見 東州
- 音楽監督
- 栗林 義信
- 副指揮
- 小屋敷 真
高野 秀峰
藤本 淳也 - 美術
- 星 健典
- 照明
- 奥畑 康夫
- 衣装
- 清野 佳苗
- 音響
- 仙頭 聡
- 舞台監督
- 小桜 邦彦
- 演出助手
- 手塚 優子
田中 維子
キャスト(戸渡阿見オペラ団)
- フィガロ(日賀朗)
- 深見 東州
- スザンナ(寿山奈)
- 大貫 裕子
- 伯爵夫人ロジーナ(露慈汝)
- 小林 菜美
- アルマヴィーヴァ伯爵(有魔美馬)
- 佐野 正一
- ケルビーノ(蹴美野)
- エマ・フォスター
- マルチェリーナ(丸地恵利奈)
- 諸田 広美
- バルトロ(春瀞)
- 彭 康亮
- バジリオ(馬尻男)
- 大間知 覚
- ドン・クルチオ(豚来千代)
- 牧川 修一
- アントニオ(庵頭仁王)
- 筒井 修平
- バルバリーナ(晴針南)
- 上田 由紀子
- 花娘
- 柴田 恵理子
- 花娘
- 山口 清子
- 管弦楽
- 東京ニューフィルハーモニック管弦楽団
- チェンバロ
- 奥谷 恭代
- 合唱
- 雛祭りのフィガロの結婚合唱団